子どもたちと教職員のコロナ感染を防ぐための要請書を提出しました。

 デルタ株に置き換えられたコロナ感染急拡大により埼玉県の緊急事態宣言は延長され、全国的にもまん延防止等重点措置の地域と合わせて、適用範囲が大きく広がりました。埼玉県内の小中学校では2学期開始直後の教育課程を見直して、夏季休業の延長、短縮授業や分散登校、オンライン学習などを取り入れるなどして、新学期をスタートさせました。

 デルタ株によるコロナ感染は、子どもを含む若い世代への感染を広げ、ワクチン接種者に対しても感染させるなど、猛威をふるっています。

政府は、10代以下の感染者が増えている状況から学校での感染拡大を防ぐとして、小中学校や幼稚園などに9月より約80万回分の抗原検査キットを配布することを決めました。抗原検査キットは、教職員が使用することを基本的に想定しているとしながらも、小学校4年生以上の児童・生徒にも条件が整えば必要に応じて使用することができるとしています。

このことについて、日本小児科学会と日本小児科医会では、異論を述べています。日本小児科医会は、「プライバシーを守るため保健室で検査をするとして、陽性の場合に子どもはずっと保健室にいることになるのか。子どもは自分の鼻に(検査用の綿棒を)突っ込むのは恐怖感を持ち、鼻血などのアクシデントも想定される。コロナ対策に必死の学校の先生にさらに大きなストレスをかけることは妥当なのか」と疑問を投げかけました。日本小児科学会は「使う場面はかなり限定的。陽性判明時の心のケアがきちんとできるか疑問もあるし、検体採取の質の担保も難しい」としています。

 検体採取業務は感染リスクを伴う医療行為であり、養護教諭をはじめ教職員が行う業務ではありません。また、検体採取場所として、教室や保健室を使用することもふさわしくありません。陽性反応者がいた場合には、学校全体をクラスター化させてしまいます。体調不良の児童・生徒及び教職員は直ちに帰宅させ、医療機関等の受診を勧めるという本来の対応を確実に実施するべきであり、学校で検査をすること、教職員が検査に立ち会うことには大きなリスクを伴い反対です。

また、政府は「感染状況が特に深刻な首都圏や関西の小中学校の教職員を対象に定期的なPCR検査を実施できるよう政府と自治体が調整している」ことを明らかにしました。学校の教職員とともに児童・生徒に検査対象を拡大して、定期的にPCR検査を実施し、陽性者を早期に保護・隔離することこそが、デルタ株によるコロナ感染を封じ込めることにつながります。それは、安心した社会生活を取り戻し、安全の学校教育を送ることを展望する道筋でもあります。

子どもたちの教育の保障と、子どもと教職員のいのちと健康を守る立場から下記のことについて、要請します。