権利は知っていなければ行使できません。ここでその権利について知り、必要な場面で活用できるようにしましょう!
勤務時間
私たちの勤務時間は、埼玉県の条例により「学校職員の勤務時間は、休憩時間を除き、4週間を超えない期間につき1週あたり38時間45分とする」と定められており、1日あたりにすると7時間45分となっています。
勤務時間の割り振りは分会との交渉事項です(地方公務員法第55条)
勤務時間の割り振りとは、年間を通じて正規の勤務時間を年度当初に定めておくことです。その日の都合でくるくる勤務時間を変更するのは、正しくありません。(労基法第89条)
勤務時間の割り振り権は校長にありますが、これは校長が一方的に決めて良いということではありません。勤務条件に関することは地方公務員法に定める交渉事項ですので、職員会議にはかる前に職場の分会と交渉する必要があります。
週40時間を超える勤務は労基法違反
教員の場合は年1月1日から施行された「給特法」によって、本給の4%に当たる教職調整額が支給されるとともに、一定の限度で時間外勤務が命じられるようになりました。だからといって、この措置で無制限に時間外勤務が命じられるものではなく、臨時または緊急にやむを得ない必要がある時に限るものとなっています。つまり、予め計画して実施する場合はこれに該当しません。また緊急の場合も極めて限定的なものとなっています。従って、予め計画されている修学旅行等の行事が行われる場合は、当然ながら代休及び超過時間分の回復措置が講じられなければなりませんし、限定4項目の場合でも同様です。
調整時間については「児童生徒の起床時から就寝時までは勤務時間」 「児童生徒の就寝以降も必要に応じて業務を行った場合は当然調整の対象となる」 (2007年2月16日労安交渉)と県教委も見解を示しています。具体的には、児童生徒の起床時刻から就寝時刻までの時間および、深夜業務の合計時間から所定内勤務時間としての8時間を引いた残りの時間が調整の対象となるべき時間です。割り振り権を持つ校長と弾力的に話し合って常識的な線で決めることが必要です。
割振り変更簿導入で時間調整をしっかりとろう
県教委は「学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例」及び「学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則」の一部を改正し、以下のような内容で2005年4月1日から施行しました。同一校で継続勤務や教職員の異動があっても、年度末教務用務で記入した割振り変更簿は有効です。
【1.週休日の振替について】
週休日に勤務を命じた場合、「原則としてその週で振替」を行うことが最も妥当な振替ですが、それができない場合には、従来の「前4週、後8週」で振替をした期間を「後16週」に広げました。 このことは「週休日の勤務を必要以上に拡大するものではない」と県教委も確認しています。
【2.勤務時間の調整について】
日常の超過勤務について「割振り変更簿」に記入することで、時間調整を行えます。その際、調整期間は「週休日の割り振り変更」に準じて長期休業中を含む16週間後まで可能です。
- 2022年度から、これまで年休4時間と調整4時間で併せて1日勤務しないとしていた運用が変更され、フルタイム職員の場合、年休2時間と調整6時間でも1日勤務しないことができるようになりました。
年次有給休暇(年休)
・1年(1月から12月)を通じて20日の年次有給休暇がとれます。事由を記入する必要はありません。
・新採用の方は、下の表の通りです。
採用の月 | 年休 | 採用の月 | 年休 |
1月 | 20日 | 7月 | 10日 |
2月 | 18日 | 8月 | 8日 |
3月 | 17日 | 9月 | 7日 |
4月 | 15日 | 10月 | 5日 |
5月 | 13日 | 11月 | 3日 |
6月 | 12日 | 12月 | 2日 |
- 1日または、30分を単位にとることができます。30分を単位とする年休は、7時間45分で1日に換算します。20日を限度として翌年に繰越ができます。
- 2022年度の交渉の結果、2023年度から取得単位が1時間から30分に変更になりました。より細かく年休を取得できるようになりました。
特別休暇
生理休暇(学校職員の勤務時間・休暇に関する規則12条の9)
「生理日の勤務が著しく困難な場合、3日の範囲内において、そのつど必要とする期間」とることができます。
- 1回につき3日間は有給で保障されますが、週休日があった場合は日数に含まれます。3日間の範囲を時間単位でとることもできます。
- 医師の診断書は必要としません。
- 「休暇願」を出します。休暇の種類は「特別休暇」とし、事由は「条例12条による休暇」と書きます。(「生理休暇」と書いてももちろんOKです。)
結婚休暇(学校職員の勤務時間・休暇に関する規則12条の17)
結婚生活に入るための諸行事(挙式・旅行・婚姻届等)を行うための休暇で、連続7日の範囲(週休日・休日・代休を含まない)で取得できます。
- 届出をしないが事実上婚姻関係と同様の場合も含みます。
- おおむね結婚の日の5日前から結婚の日の後1月を経過するまでの期間に取得できます。ただし、職務が繁忙な場合など合理的な理由による場合には、結婚の日の後の最初の長期休業中にも取得できます。
- 2022年度の交渉の結果、2023年度からは、同性パートナー等についても、結婚休暇が取得できるようになります。(扶養手当も認められます)
通院休暇(学校職員の勤務時間・休暇に関する規則12条の2)
妊娠中及び産後1年以内に保健指導・健康診査を受けるために1回に着き日の範囲で次のような休暇を受けることができます。
- 妊娠満23週まで・・・ 4週間に1回
- 妊娠満24週から・・・ 2週間に1回
- 妊娠満36週から・・・ 1週間に1回
- 出産後1年まで・・・1年以内に1回(医師等の特別な指示があった場合は、指示された回数)
- 母子健康手帳を提示することが必要です。
通勤緩和休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の3)
妊娠中、母体の健康維持をはかるために、1日1時間以内の勤務時間の繰上げ・繰り下げの通勤休暇をとることができます。
- 通勤ラッシュを避けるための休暇です。自家用車、原動機付自転車利用者も含まれます。
- この休暇は妊娠が証明できる日から産前休暇前まで勤務時間の始めと終わりに午前30分、午後30分、または午前か午後にまとめて1時間以内で取れます。
- 原則として1月単位または、産前休暇の前日までを一括して申し出ます。
妊娠障害休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の4)
つわりや妊娠中の傷害等で14日を超えない範囲で妊娠障害休暇がとれます。
- 連続でも断続でも14日の範囲内でとれます。2日以上連続してとる場合でも、週休日・休日・代休は日数に含めません。(産前休暇につなげた場合は含みます。)
- 産前休暇につなげてとった場合は、産休代替教職員が配置されます。
- この休暇を産前休暇につなげる場合、または7日以上引き続いてとる場合の手続きは、加算休暇と同じです。
- 原則として、母子健康手帳などを証明するものの提示と勤務が困難であることの申し出(口頭でよい)が必要です。
出産休暇・加算休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の1)
出産休暇・・・出産予定日を含め6週間。(多児妊娠の場合は14週間)
- 産後休暇・・・出産日の翌日から8週間。
- 加算休暇・・・産前・産後休暇に続けて、合わせて2週間。
- 妊娠4ヶ月以上(85日以上)の分娩(早産・流産・死産・人工中絶)の場合にとれます。
- 産前・産後休暇に妊娠障害休暇・加算休暇が続けてとれます。
- 出産日が出産予定日より早まった場合は、残余の産前休暇が消滅し、遅れた場合は出産日まで産前休暇が延長されます。
- 産休代替職員が配置されます。
- 母子健康手帳などの証明を提示することが必要です。
- 産前産後休暇期間中も育児休業中と同様に、申し出により共済組合及び互助会の掛金が免除されます。
出産補助休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の18)
妻の出産(妊娠4ヶ月以上の分娩)にあたり、夫である男性教職員は3日の範囲内でそのつど必要と認める期間、休暇がとれます。
- 出産当日からおおむね2週間以内にとることを原則としています。
- 入退院の際の付き添い、出産時の付き添い、出産に係る入院中の世話、出産届け提出時等に使います。
- 連続3日とる場合、休日等を含む場合は、休日の前日と後に分けて請求するとよいです。
- 1日単位でも30分単位でも取得できます。
男性職員の育児参加のための休暇
(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の19)
学校職員の妻が出産するとき、その出産予定日の6週間(多児妊娠の場合は14週間)前の日から、2022年度より、子が1歳になるまでの日の期間に、当該出産に係る子または、小学校の始期に達するまでの子を養育する職員が、これらの子を養育するため勤務しないことが相当であると認められた時に、5日の範囲内でその都度必要と認められる期間休暇がとれます。
- これらの子と同居している必要があります。
- 1日単位でも30分単位でも取得できます。
育児休暇(育児時間)(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の5)
男女教職員は、生後2年に達しない生児を育てる場合1日2回、1日を通じて90分を超えない範囲で、育児のための休暇をとることができます。
- 2005年4月1日から、誰でも子が2歳になるまで取得することが可能となりました。
- 「生児」とは、教職員と法律所上の親子関係にある実子および養子。
- 朝45分遅く来て、45分早く帰ることができます。30分と60分(またはその逆)の組み合わせもできます。まとめて90分、朝か帰りにとることも認められています。
- 生児の母親が育てることができる場合(勤めていない場合など)は、男性教職員は取得できなかったのですが、2023年度の交渉の結果、2024年度から取得できるようになりました。夫婦がそれぞれ90分まで、同時に取得することも可能になります。
- 原則として1月単位または承認を与えることができる限度期間までを一括して申し出ます。
子育て休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条6)
義務教育終了までの子(配偶者の子を含む)を養育する学校職員が、その子の看護や学校行事に出席するために、勤務しないことが相当であると認められた場合、1年に7日(義務教育終了前までの子が2人以上の場合には10日)の範囲で休暇がとれます。
- 看護する「疾病・負傷」には、風邪・発熱などあらゆる疾病・負傷が含まれます。医師の診断書等の提出は必要ありません。実際に職員が子の看護を行う必要があればとることができます。
- 後遺障害の機能回復訓練の介助、健康診断または予防接種のための付き添いも認められています。予防接種は予防接種法に定められているもの以外の任意の接種でも取得できます。
- 子が在籍する学校(園)等が実施する行事に出席する場合、学校(園)からの通知を添えて申し出ます。学校行事とは、入学(園)式、卒業(園)式、運動会や学芸会等を含む授業(保育)参観、家庭訪問、保護者説明会・保護者面談、引き渡し訓練をいいます。高等学校または教育委員会が実施する保護者説明会も対象となりました。
- 1日単位でも1時間単位でも30分単位でも取得することができます。
- 2010年1月から、義務教育終了までの子が2人以上いる場合、10日の範囲になりましたが、1人につき5日とするものではありません。
- 2012年度より子どもは、実子・養子・配偶者の子に加え、里子も含めることとなりました。
- 2023年度の交渉で、以下のように事由が拡大しました。
- 学校行事に「保護者による登下校指導」を含める。
- 未就学児、小学生又は特別支援学校に通う中学生である場合に限り、臨時休校や学級・学校閉鎖による子育て休暇の取得を認める。
家族看護休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の7)
学校職員が家族看護および通院等の世話のために、勤務しないことが相当であると認められた場合、1年に3日の範囲で休暇がとれます。
- 看護の内容は、負傷・疾病による治療、療養中の看護および通院等の世話を言います。
- 負傷疾病とは、その程度や特定の症状に限るものではなく、風邪・発熱等含めてあらゆる負傷・疾病が含まれます。
- 家族の範囲は次の通りです。
〈同居・別居とも〉配偶者、父母、子(義務教育終了前までの子を除く)、祖父母、孫、兄弟姉妹および、配偶者の父母。
〈同居の場合〉事実上の父母、事実上の子。(同居とは、看護のために同居する場合を含みます。) - 1日単位でも1時間、2020年度より、30分単位でも取得することができます。
- 2021年度より診断結果や治療方針の説明の際の付き添いも加わりました。(不妊治療の付き添いも可能になりました。)
短期介護休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の8)
学校職員が要介護者の介護や世話のために、勤務しないことが相当であると認められた場合、1年に5日(要介護者が2人以上の場合には10日)の範囲で休暇がとれます。
- 育児介護休業法の改正にともなって、2010年6月に新設されました。
- 要介護者の介護や世話とは、介護や通院等の付き添い、介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行、その他の必要な世話をいいます。
- 要介護者とは、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、孫、兄弟姉妹等をいい、負傷・疾病、老齢により日常生活を営むのに支障がある場合とることができます。
- 取得するときは、休暇願とともに「要介護者の状態等申出書」の提出が必要です。
- 1日単位でも1時間単位でも30分単位でも取得することができます。
忌引休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の10)
親族が死亡した場合、服喪のために次の期間の休暇がとれます。
配偶者 10日
- 一親等の直系尊属(父母) 【血族】7日 【姻族】3日
- 一親等の直系卑属(子) 【血族】7日 【姻族】1日
- 二親等の直系尊属(祖父母) 【血族】3日 【姻族】1日
- 二親等の直系卑属(孫) 【血族】1日 【姻族】―
- 二親等の傍系者(兄弟姉妹) 【血族】3日 【姻族】1日
- 三親等の傍系尊属(伯叔父母)【血族】1日 【姻族】―
- 配偶者は、届出しないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。
- 死亡したものが、学校職員と生計を一にする姻族の場合は、血族に準じます。
- 伯叔父母の配偶者は、伯叔父母に準じます。
- 休暇の開始日は、申請に基づく日からで遠隔地に行く必要がある場合は、その往復に要する実日数を加算できます。
追悼のための休暇(学校職員の勤務時間・休暇等に関する規則12条の11)
配偶者・父母および子の追悼のための特別な行事のためそれぞれ1日与えられます。
- 「父母」とは、実父母および養父母に限られ、いわゆる義父母および継父母は含まれません。
- 「子」とは、実子または養子に限ります。
- 遠隔地に行く必要がある場合は、その往復に要する実日数を加算できます。
- 「追悼のための特別な行事」とは、法事等の行事を行う日をさすものであり、単に命日というだけでは与えられません。
病気休暇
負傷または疾病のため療養する必要がある場合、90日の範囲内で勤務しないことがやむを得ないと認められる期間、病気休暇をとることができます。病気休暇は、必要に応じて1日または1時間を単位にすることができます。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例第14条・同規則11条)
- 病気休暇の申請は、「病気休暇簿」を提出します。
- 連続8日以上取得する場合には、医師の証明書等が必要となります。8日未満の場合は、病気の旨を報告すれば取得できます。病気休暇の前1月間に通算5日以上の病気休暇を使用しているときは、医師の証明書等が必要となります。
- 1日、1時間単位で取れるものですから、風邪や発熱等病気のときは、年休ではなく病休の申し出をしましょう。
- 病休は通算90日と定められています。病休1ヶ月以上で代替教職員(県費)が配置されます。3ヶ月(90日)を超えた場合は、病気休職になります。
- 条件付採用期間中の教職員(初任者)と臨時的任用教職員には休職制度の適用がなく、病気休暇90日間の取得後は自主退職をせざるを得ませんでした。しかし、私たちの長い間の要求が実り、2011年度の病休制度の改定で90日間の上限は取り払われ「療養に必要な期間」となり、働き続けられる道が開けました。ただし、90日を超えた期間については給料が半減されます。
- 30日を越えると勤勉手当が減額され、昇給期から昇給期までの勤務を要する日の6分の1を超えると昇給が延伸されます。
- 病気休職期間中は、公立学校共済組合の傷病手当金の支給により、1年6ヶ月間給料の8割程度は保障されます。
- 結核性疾患の病気休暇は90日間となりますが、その後の病気休職中(3年間)は現行通りに給与の全額が支給されます。
- 2021年度から不妊症・不育症も病気休暇の対象となり、通院や診断された後の薬の受領も病気休暇の対象となりました。8日以上の不妊症にかかわる病気休暇取得の際は、診断書ではなく、より簡易的な様式である、不妊治療連絡カードでも可となっています。
妊産婦の労働軽減
妊娠中に他の軽易な業務への転換を請求することができます。妊産婦は、1週間40時間、1日8時間を越える労働、時間外労働、休日労働、深夜業をさせないよう請求することができます。(労働基準法63条の3、66条)
- 請求により生ずる権利ですので、妊娠が分かったらみんなに知らせ、遠足への付き添い・泊を伴う行事・水泳指導・体育実技などを免除する、家庭訪問は学校での個人面談にする、高い階の教室を避ける等の配慮を校長に請求しましょう。
- 分会は、本人とともに校長交渉を行いましょう。
- 2009年の条例改正により、1週間38時間・1日7時間45分によみかえます。
体育代替講師措置
小学校の教諭及び中学校の体育教諭が妊娠した場合、母性保護のため、体育の授業を担当する非常勤講師が措置されます。(小学校)
18学級以上という学級要件が撤廃され、妊娠者1名につき1人の体育授業の代替講師が措置されるよう改善されました。2021年度から妊娠者1人に対して非常勤講師が週5時間から週6時間措置されます。(公立義務教育諸学校派遣職員要綱)
- 母子健康手帳または、医師の診断書の写しを添付して「妊娠教員体育代替非常勤措置願」を学校長宛に提出します。(中学校)妊娠判明時から産前休暇に入るまで、1週間につき13時間、非常勤講師が措置されます。(公立義務教育所学校派遣職員要綱)
妊娠養護教諭対応非常勤講師措置
養護教諭が妊娠したとき、繁忙期(4月~7月)に母体保護のため非常勤講師が措置されます。
非常勤講師の措置時数は、週25時間です。措置されるのは養護教諭1人配置校に限定されています。養護教員部の積年の要求が2016年に実現し、繁忙期(4月~6月)の措置が開始されました。
その後も粘り強い要求を続け、2019年度から1ヶ月延長され、7月までとなりました。
- 2022年度から、小・中学校における妊娠養護教員対応非常勤講師、妊娠教員体育代替非常勤講師について、それぞれの非常勤講師の任用期間の範囲内で、本務者が病気休暇に入り、代員が配置されない場合、病気休暇が終了するまでの期間において引き続き、非常勤講師の配置が可能になりました。
妊婦の休憩または補食
妊娠中の教職員が母子保健法に規定する保健指導または、健康診査に基づく指導事項を守るため適宜、休息または補食する場合、その都度必要と認める時間について、職務専念義務を免除されます。
- 行使する場合、母子健康手帳等によって確認を求められますが、その際プライバシー保護には十分留意することになっています。そのことをふまえて対処しましょう。
育児休業
すべての男女教職員は任命権者の承認を受けて、その子が3歳に達する日まで、育児休業を取ることができます。(地方公務員の育児休業に関する法律)
- 育児休業の期間は、代替職員が配置されます。
- 育児休業の期間中は、その身分が保障され、現職復帰が保障されています。
- 育児休業の期間は、特別の事情がある場合を除き1回に限り延長することができます。
- 育児介護休業法の改正にともなって、男性の育児休業取得率をあげるためもあって、妻と夫が同時に育児休業・育児短時間勤務・部分休業を取得することができるようになりました。配偶者が常態として子の養育にあたれる場合でも取得することができます。
- 男性職員が子の出生の日から57日以内に最初の育児休業を取得した場合(通称産後パパ休暇)は、特別な事情がなくても再度の育児休業を取得することができます。
- 配偶者が育児休業(または育児短時間勤務)を取得したかどうかにかかわらず、育児休業等計画書を提出して最初の育児休業(または育児短時間勤務)を取得した後、3月以上経過した場合に再度取得することができるようになりました。
- 2歳に達する日まで育児休業手当金が公立学校共済組合から支払われることになりました。しかし、「保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」との定めを設けています。
- 育児休業手当金
【報酬標準月額×50(育児休業開始後180日間は67)/100】×休業日数(給付日額上限あり) - 期末勤勉手当は長い間、基準日に育児休業をとっていると支給されませんでしたが、2000年から、「勤務実績に応じて支給」されることになりました。
- 子が3歳に達する日の翌日の属する月の前月まで、共済組合と互助会掛金が免除されます。免除期間中も被保険者資格は継続し、給付については通常どおり行われます。
- 職務に復帰した場合、育休期間の2分の1に相当する期間を勤務したものとして昇給期間が調整されていましたが、2008年からは、国の育児のための短時間勤務制度の導入に合わせて、育休復帰者の昇給延伸は回復されています。
- 2022年から育児休業の取得回数制限が緩和され、原則1回から2回までの取得が可能となりました。
育児短時間勤務制度
学校職員は、常勤職員のまま、小学校就学の始期に達するまでの子を養育するために、希望する日及び時間帯において勤務することができます。(地方公務員の育児休業等に関する条例第10条、学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則第12条)
教職員の場合、次のうち一つのパターンを選び、勤務します。
・一日3時間55分(週19時間35分)
・一日4時間55分(週24時間35分)
・週3日(週23時間15分)
・週3日(内1日は3時間55分で週19時間25分)
- 給与については勤務時間に応じた額となります。
- 育児短時間勤務の開始希望日の1月前までに校長に承認請求書を提出します。承認期間は、1月以上1年以下です。延長を希望する場合は勤務終了の1月前までに再度承認請求書を提出します。原則として、育児短時間勤務の終了後、1年間は育児短時間勤務をすることはできません。
- 妻と夫が同時に育児短時間勤務をすることも可能です。
- 後補充として、勤務しない時間に相当する時間で任期付き短時間勤務職員が配置されます。本務者と後補充者の勤務時間については、学校の裁量で重なる時間帯を作ってもかまいません。学校現場では引き継ぎは必要なため、後補充者の労働時間を制度取得者の労働時間の残を上まわるものとすることを要求しています。
- 年休や子育て休暇、家族看護休暇などの特別休暇はすべて取得できますが、勤務日数や勤務時間に合わせた時間となります。例えば一日3時間55分勤務の場合、子育て休暇は7日とれますが、1日は3時間55分となります。
- 育児休暇は、一日の勤務時間が4時間以下の日は30分、4時間を超える日は60分(2回に分割できます)となります。
部分休業
就学前の子を養育する教職員は、1日の勤務時間の一部について勤務しないことを請求することができます。ただし、無給で、勤務しない1時間につき、1時間当たりの賃金が減額されます。部分休業は、正規の勤務時間の始めまたは終わりに、1日に2時間を上限として30分単位とするとしています。育児休暇をとった場合は2時間から減じます。非常勤職員や配偶者等が育児休業をとっている場合はとれません。育児短時間勤務と同時にとることはできません。
育児または介護を行う学校職員の時間外勤務の制限
小学校就学前の子のいる学校職員、要介護者を介護する学校職員から請求のあった場合、1月について24時間、1年について150時間を超えての時間外勤務をさせてはならないことになっています。
育児介護休業法の改正に伴って、配偶者が育児または介護ができる場合でも請求することができるようになりました。また、3才未満の子のいる学校職員から請求があった場合は、原則として時間外勤務をさせてはならないことになりました。
介護休暇
県教育委員会規則で定める者で負傷、疾病又は老齢により1週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障があるものの介護をするため介護休暇をとることができます。
介護休暇の期間は、介護を必要とする一の継続する状態ごとに、通算して6月を超えない範囲において必要と認められる期間となっています。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例17条、同規則14、17~19条)
- 介護者の範囲は、配偶者(事実婚も含む)、父母、配偶者の父母、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、同居の父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者、配偶者の子です。
- 「介護」とは、家族等が疾病等により療養中で正常な日常生活を営めない状態にある場合において要介護者の食事、入浴、着替え、排泄等の身の回りの世話等を行うことをいいます。子どもの不登校等の場合も「要介護」と見なされれば含まれます。
- 介護は一人では担いきれないことがありますので、職員以外に介護することが可能と思われる者がいる場合でも、実際に職員が介護する必要がある場合は取得できます。要介護者が完全看護の病院に入院している場合は認めないという校長がいますが、病状等によって介護の必要があるか否かで判断されます。
- 要介護者各々につき介護を必要とする一の継続する状態ごとに通算して6月を超えない範囲で取得できます。6月を限度として最大3分割して再取得できます。
- 介護休暇をとり、いったん介護を必要とする状態が終結した後、また新たな負傷、疾病により介護が必要となった場合は、新たな介護休暇を取得できます。
- 疾病の有無、疾病の種別、疾病の重複あるいは先天性か後天性かにより判断するものではありません。
- 休暇の単位は1日又は1時間とします。1日4時間を超すと1日として計算されます。
- 身分・地位の継続を保障し、現職復帰とします。取得したことによって不利益な取扱いはありません。
- 証明書は通常は不要です。その事由を確認する必要があると教育委員会が認めるときは証明書類の提出を求めることができます。(診断書や住民票を提出するように言う校長がいますが、通常は介護休暇簿で申請します。)
- 一ヶ月以上の連続取得者には代替者が配置されます。
- 介護期間中に要介護者が死亡した場合、代替者は発令事由を失いますが、引き続き忌引休暇の末日まで勤務することが運用で認められています。
- 介護休暇期間の2分の1を勤務したものとみなして昇給します。
介護時間
学校職員が要介護者の介護(食事の介助、通所介護施設への送迎等)をするため勤務しないことが相当であるとき、連続3年の期間、始業又は終業の時刻に連続して2時間の範囲内でとることができます。介護時間を受けようとするときは、介護時間簿を持って校長に願い出ます。1時間につき1時間あたりの給与が減額されます。
リフレッシュ休暇
勤続10年、20年、30年に達した教職員は職務に専念する義務が免除され、リフレッシュ休暇を取ることができます。
- 勤続31年目は、職専免5日を含む連続した概ね7日の休養、勤続21年目は、職専免3日を含む連続した概ね7日の休養、勤続11年目は、職専免2日を含む連続した概ね7日の休養ができます。週休日、休日、代休を除きます。
- 休暇は勤続10、20、30年に達した翌年度の4月1日から3月31日までですが、取得できなかった場合は、1年間延長することができます。また、31年目の休暇は、連続した3日と2日に分割して取得することができます。
- 手続きは職専免の願いを提出し、勤続20年、30年の場合は後日報告書を校長に提出します。
- 2022年度の交渉の結果、2023年度からは勤続40年に達した教職員も適用されることになりました。
ライフプラン休暇
当該年度に満54歳になる教職員は「ライフプラン休暇」をとることができます。
- 「ライフプラン休暇」とは、高齢層教職員が自らの生涯生活設計の充実を図るため、自発的な計画に基づき、健康の維持増進、余暇活動、生涯学習活動及び地域活動等を行うために取得する連続した休暇のことをいいます。
- 年休3日以上を含む連続した5日以上の休暇(夏季休暇、週休日、学校職員の休日を含む)です。当該年度内に1回とれます。また、「ライフプラン休暇」を取得した教職員のうち教職員互助会会員については、所定の手続きにより、5,000円が給付されます。