2024年さいたま市人事委員会勧告の概要について

地方公務員は民間企業の従業員とは異なり、争議権(ストライキ)や団体交渉権の一部(協約締結)が制約されています。その代償措置として、人事委員会による給与勧告の制度が設けられています。

給与勧告は、人事委員会の調査の結果により、公務員の給与水準と民間の給与水準を均衡させることを基本に行うとされています。さいたま市人事委員会は9月25日に勧告しました。

さいたま市人事委員会勧告 → さいたま市人事委員会のHP

公民較差に基づく給与改定

月例給

給与較差 10,818円(2・67%)

給与改定 引き上げ

  • 民間給与との較差(10,818円、2.67%)を解消するため、行政職給料表について、若年層が在職する号給に重点を置き、そこから改定率を逓減する形で全級・全号給について引上げ改定。初任給については、大卒初任給を23,800円、高卒初任給を21,400円、それぞれ引上げ教育職給料表⑴及び⑵については、埼玉県における改定状況等を考慮して改定

期末・勤勉手当

年間支給月数を0・10月分引き上げ(期末・勤勉手当に反映)

4・50月(期末2・45月、勤勉2・05月)
⇒ 4・60月(期末2・50月、勤勉2・10月)

その他

初任給調整手当及び寒冷地手当について、人事院勧告の内容に準じて改定

人事管理に関する諸課題

長時間労働の是正

時間外勤務時間や時間外在校等時間が、年間1,000時間を超える職員・教育職員も一定数存在。所属単位では、時間外勤務時間が多い部署に偏りも見られる。職員の健康保持という観点から、危機感を持って実効性のある対策を講じていくことが必要。

ワーク・ライフ・バランスの推進

一部の地方公共団体で導入している「子育て部分休暇」(部分休業と同様の無給の休暇を「子が小学校1年生から6年生までの間」取得できるというもの)は有効。子どもが小学校に入学した後も、「子育て」と仕事との両立を図ることができるよう、勤務条件・勤務環境を整備していくことは大変重要。

介護に係る両立支援制度は、介護休暇と介護時間が職員のニーズに合ったものであるかを
検証し、ニーズに寄り添った支援を提供していくことが必要。

メンタルヘルス対策

労働者数50人未満の学校においては、法令上、安全衛生委員会の設置義務や産業医の選任義務が課されていない。労働者数が「50人以上」と「50人未満」とで学校の労働安全衛生管理体制が変わってしまうことは、今後の改善が望まれる課題。

ハラスメントの根絶

ハラスメントをした職員に対しては厳正に対処していくという姿勢を明確に示していくことが肝要。ハラスメントをしたというマイナス要素を人事評価に的確に反映させる仕組み作りも必要。

職員を孤立させない取組みの推進

カスタマーハラスメントへの対応において、1人の職員に任せるのではなく、類型に応じて組織として対応できる体制の整備が急務。

人材の確保、育成及び活用

定年を待たずに退職する職員が増加傾向にあり、令和4年度から5年度にかけて急増。速やかな実態把握と原因究明を期待。

メリハリのある処遇の推進

昇給及び勤勉手当への人事評価結果の反映をより一層推進していくことが求められるが、これを推進するに当たっては、一部の成績優秀者のみならず、着実に本市の事務事業に貢献している多くの職員が報われる仕組みとされることを期待。

職制の見直し・再整理

「メリハリのある処遇」を推進していくに当たっては、職(ポスト)に係る人事・給与上の位置付けである「職制上の段階」と「給料表の級構成」(給与水準の設定)が、それぞれの職務の実態に即した適正なものとなっていることが前提。
職務の内容や職に求められる期待役割を今一度点検する等、「職制上の段階」と「給料表の級構成」の最適化に向けた検討を進められることを期待。

給与制度のアップデート

令和7年に「さいたま市版人事・給与制度アップデート」として報告できるよう、鋭意検討。地域手当の引き下げと扶養手当については手を付けず、来年度に持ち越す。