2024年埼玉県人事委員会勧告の概要について
地方公務員は民間企業の従業員とは異なり、争議権(ストライキ)や団体交渉権の一部(協約締結)が制約されています。その代償措置として、人事委員会による給与勧告の制度が設けられています。
給与勧告は、人事委員会の調査の結果により、公務員の給与水準と民間の給与水準を均衡させることを基本に行うとされています。埼玉県人事委員会は10月17日に勧告しました。
埼玉県人事委員会勧告 → 埼玉県人事委員会のHP
本年の給与改定(民間給与との比較)
月例給を引上げ(平均2.79%引上げ)
公民較差の状況等を考慮し、給料表を改定
(若年層に特に重点を置きつつ、全ての職員を対象に引上げ改定)
特別給(ボーナス)を引上げ(4.50月→4.60月)
民間の特別給の年間支給割合に見合うよう、職員の年間支給月数を0.10月分引上げ
給与制度のアップデート
国に準じて、令和7年4月から給料表や諸手当を見直す給与制度のアップデートを実施
給料表
- 初任給・若年層の水準を大幅引上げ(2024年4月に先行実施)
- 特に管理職層についてより職責を重視した給料体系となるよう見直し(2025年4月から実施)
扶養手当
配偶者に係る手当を廃止、子に係る手当を増額(2025年4月から段階的に実施)
2024年度 | 2025年度 | 2026年度 | ||
配偶者 | 行政職7級以下 | 6,500円 | 3000円 | 支給しない |
行政職8級 | 3,500円 | 支給しない | 支給しない | |
子 | 10,000円 | 11,500円 | 13,000円 |
地域手当
地域手当の支給割合を見直し。給料月額の引下げ等を実施。実質約10%を維持。(2025年4月から実施)
通勤手当
- 支給限度額を月15万円に引上げ、この範囲内で特急料金も全額支給(2025年4月から実施)
- 新幹線通勤等の要件を緩和(2025年4月から実施)
在宅勤務等手当
- 在宅勤務等手当を新設(2025年4月から実施)
- 手当額は、1か月当たりの合計額が3,000円を超えない範囲内において人事委員会規則で規定(2025年4月から実施)
人事管理に関する報告(意見)
本県における人事管理に関する主な課題と取組の方向性について報告
人材の確保
- 人材確保の重要性と課題
- 優秀な職員を着実に確保し、能力や意欲を最大限引き出して、組織全体のパフォーマンスを高めていく。
- 新たな採用手法の導入や職場環境の整備等の積極的な推進。
- 人材確保の具体的方向
- 負担なくチャレンジしやすい試験制度。
- 試験実施時期の早期化、民間企業採用に導入されている基礎能力検査の活用、受験機会の拡大。
- 公務への関心を高める効果的な広報。
- 離職防止のため勤務環境づくりが重要。
人材の育成及び活用
- 人材の育成
- 役割・ミッションへの納得感を高め、人材育成やキャリヤ形成支援、アップスキリング、リスキリング支援。
- 能力・実績に基づく人事管理の徹底
- 人事評価の実施と活用は人材の確保・定着の観点からもより重要。
- 女性職員の活躍の推進
- 管理職登用を含めた女性職員の活躍を推進する取組が重要。
働き方改革と勤務環境の整備等
- 業務の見直しと柔軟な働き方に資するDXの更なる推進。
- 業務を効率化して創意工夫を行い、労働生産性の向上を図る。
- TX(タスク・トランスフォーメーション)により生み出した時間の活用。
- TXとは、デジタルを前提として、従来の仕事のやり方を根本から見直し、人が行うタスクと機械が行うタスクに振り分け、機械が行うタスクをデジタルツールにより効率化することで、職員を人が行うタスクに集中させる取組。TXにより生み出した時間は、県民との対話や施策事業の企画立案などに振り向け充実させる。キャリア形成のための時間や時間外勤務の縮減のために充てることも期待。
- 仕事と生活の両立支援の推進
- フレックスタイム制のゼロ割り振り日の育児等職員以外への拡充。
- 改正育児・介護休業法の趣旨や国の動向を踏まえた適切な対応。
- 総実勤務時間の縮減
- 時間外勤務の縮減と休暇の取得
- 時間外勤務の要因を検証、結果を踏まえた対応。
- 休暇について、計画的な取得促進と取得しやすい環境づくりを進める。
- 教職員の働き方改革
- 「学校における働き方改革基本方針」の目標達成に向け、業務負担軽減につながるよう業務改善支援を進めていく
- 教員採用試験倍率低下の原因の一つに、長時間労働が指摘されている。教職員の働き方改革に一層取り組むことが求められる。
- 未配置・未補充が解消されない状況が続いている。育児休業の取得促進や働き方改革に影響を及ぼしかねず、教育の低下を招きかねない。未配置・未補充の解消に向けて、一層の努力が求められる。
- 時間外勤務の縮減と休暇の取得
- 心身の健康管理、ハラスメントの防止及び公務員倫理等の徹底
- 心身の健康管理
- メンタルヘルス対策の強化。
- 猛暑日が増加している。快適で働きやすい執務環境づくりに留意。
- ハラスメントの防止
- パワーハラスメントなどの人間関係に関する相談が多い。職員の意識を高めるとともに、被害職員に寄り添った丁寧な対応に努める。
- カスタマーハラスメントから職員を守るため対策。
- 公務員倫理と適正な事務処理の徹底
- 不祥事防止のための公務員倫理の徹底。
- 心身の健康管理