Q87 学校の適正規模はどのように考えたらよいでしょうか
●国は学校規模について学校教育法施行規則(41条、79条)で小中学校とも12学級以上18学級以下を標準と定めています。したがって小学校では1学年2~3学級、中学校では4~6学級ということになります。しかし、一方ではこのように定められていても、同法は「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときはこの限りではない。」と定めています。
●設置者や設置に伴う条件は学校教育法で定められています。具体的には国立学校は国が、公立学校は地方公共団体が、私立学校は学校法人が設置することになっています。このうち公立の高等学校は都道府県が設置することになっていますが、人口が10万人以上で高等学校を設置するのに十分な財政力のある市町村も設置できることになっています。学校を設置する場合、財政が大きな問題となりますが、2006年度に義務教育国庫負担制度が変えられ、国の負担率が1/2から1/3となりました。地方財政が圧迫されている中で、この制度によって負担率が市 町村30%、都道府県40%となったことは学校規模の適正化を一層困難にしています。主要先進諸国(アメリカを除く)が全額国負担の制度になっていることを見ても、義務教育国庫負担制度の改善を求める運動をすすめていかなければなりません。
●文部科学省は「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を策定し、2015年1月27日、各教育委員会に通知しました。文部科学省が「公立小中学校の適正規模・適正配置」の基準を見直すのは約60年ぶりとされています。おもなポイントは、次の点です。
○「学校規模の適正化」として、クラス替えができるかどうかを判断基準に、小学校で6学級以下、中学校で3学級以下の学校については、速やかに統廃合の適否を検討する必要があるとしたこと。 ○「学校の適正配置」として、従来の通学距離について小学校で4㎞以内、中学校で6㎞以内という基準は引き続き妥当としつつ、スクールバスの導入などで交通手段が確保できる場合は「おおむね1時間以内」を目安とするという基準を加えたこと。 |
●2015年1月に文部科学省が公表した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」でも、「小・中学校では一定の集団規模が確保されていることが望ましい」、教育的な観点から学校規模の適正化を考える上で「一定の学校規模を確保することが重要」としているだけです。ここで「一定の規模」というのが、国の定める学校規模の標準(12~18学級)を指していることは容易に想像できます。しかし「標準規模」を「適正規模」と明記できない点に注目することが大切です。つまり「学校の適正規模」というのは、地域の実情によって異なり、全国一律に決められるものではないというのが、現在の到達点だからです。また、それは行政が一方的に決めるものでもなく、教育条件の改善の観点を中心に据えることはもちろん、「地域とともにある学校づくり」の視点をふまえ、保護者や地域住民との丁寧な議論を積み重ねて決める必要があるからです。こうした点は、学校統廃合を加速させるために作られた「手引」でも無視することはできず明記されています。
文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」 |
学校規模の適正化や適正配置の具体的な検討については、行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもありません。各市町村においては…学校が持つ多様な機能にも留意し、学校教育の直接の受益者である児童生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子供の保護者の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど「地域とともにある学校づくり」の視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが望まれます。 (「手引」3ページ) 本手引の内容を機械的に適用することは適当ではなく、あくまでも各市町村における主体的な検討の参考資料として利用することが望まれます。 (「手引」5ページ) |
●「公共施設等総合管理計画」の名のもとに経費を制限するとして、市町村が小中学校の統廃合計画を打ち出しています。教育的な視点は一切無く、コスト削減だけを前面にした計画で、住民、父母、子どもたちにとって大きな問題です。
Q88 学級編成の仕組みと運用について教えてください
●以下は2011年に文科省より示された「学級編制の仕組みと運用について(義務)」からの抜粋です。
〈学級編制の基準〉
小・中学校 | ||
小学校 | 中学校 | |
同学年の児童で編成する学級 | 35人(1年生)40人(2~6年生) | 40人 |
複式学級 | 16人(1年生を含む場合は8人) | 8人 |
特別支援学級 | 8人 | 8人 |
特別支援学校(小・中学校部) | 6人(重複障害3人) | |
《参考》○小学校設置基準(文部科学省令)(一学級の児童数)第四条 一学級の児童数は、法令に特別の定めがある場合を除き、四十人以下とする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない。(学級の編制)第五条 小学校の学級は、同学年の児童で編制するものとする。ただし、特別の事情があるときは、数学年の児童を一学級に編制することができる。 |
〈学級編制の考え方〉
原則として、学級は同学年の児童生徒で編制するもの。ただし、児童生徒数が著しく少ないか、 その他特別の事情がある場合においては、数学年の児童生徒を1学級に編制することができる。学級編制の標準は、1学級あたりの人数の上限を示したもの。したがって、各学年ごとの児童生徒数を標準の人数で除して得た数(1未満の端数切り上げ)が当該学年の学級数になる。 (例) 35人の学年 → 1学級 〔35人〕 65人の学年 → 2学級 〔32人、33人〕 122人の学年 → 4学級 〔30人、30人、31人、31人〕 |
〈個別の学校の実情に応じた学級編制の弾力的運用〉
学級編制は、通常、年度始めの都道府県が定める基準日における児童生徒数に基づいて行われるが、個別の学校ごとの実情に応じて、児童生徒に対する教育的配慮の観点から、市町村別の教職員定数等の範囲内で学級編制の弾力的な運用が可能。 (例) ①中学校2年時に生徒数が81人で3学級としていたところ、進級時に1人が転出してしまうため2学級となるところを、 教育的配慮から3学級を維持する場合 ②小学校5年時に児童数が80人で2学級としていたところ、進級時に1人が転入してきたことにより3学級となるところ を、卒業を控えていることへの教育的配慮から2学級のまま据え置き、教員1人を少人数指導等に活用する場合 ③小学校第1学年の児童数が36人~40人の学校において、その学校の児童の状態に応じた教育的配慮から学級を分割しないで、ティーム・ティーチングなど他の指導体制の充実により対応する場合 |
〈学級編制の弾力化〉
1.児童生徒の実態等を考慮して、全県一律に国の標準(40人、小1は35人)を下回る一般的な 学級編制基準を設定することが可能。 2.加配定数の活用が可能。 |
Q89少人数学級実現に向けたとりくみについて教えてください
●教職員組合を中心とする長い間のたたかいによって、1学級の児童・生徒数は次のように改善されてきました。
計画 | 小学校 | 中学校 |
第1次5カ年計画(1959~1963年度) | 60~50人 | 55~50人 |
第2次5ヵ年計画(1969~1973年度) | 49~45人 | |
第3次5カ年計画(1969~1973年度) | 45人 | |
第4次5カ年計画(1974~1978年度) | 45人 | |
第5次12カ年計画(1979~1991年度) | 45~40人 | |
第6次6カ年計画(1993~1998年度) | 40人 | |
第7次5カ年計画(2001~2005年度) | 40人 |
●1968年度に45人学級が完了してから長い期間、政府・文部省はこれを固定してきましたが、教職員や父母などの強い要求と運動、ならびに諸外国の実態(当時25~30人学級が主流)などからやっと重い腰を上げ、40人学級をめざす第5次12か年計画をスタートさせました。
●第5次計画開始後8年目の1986年度からすべての地域で順次40人学級が実施されはじめ、小・中学校全学年で40人学級が完結したのは1991年度のことでした。(埼玉県では革新県政下、89年度から県独自の措置として、小・中とも25学級以上の大規模校で42人学級が実現しました)
多くの教職員や父母などが「30人学級」への期待を寄せていましたが、第6次6か年計画、第7次5カ年計画には学級規模縮小の計画は盛り込まれませんでした。
●2020年、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大きな混乱が起こりました。コロナ禍において、密集・密接・密閉(3密)をさけるソーシャルディスタンスが叫ばれました。
コロナ感染症から子どもたちのいのちと健康を守り、成長と発達を保障するため、緊急措置として「20人学級」を展望とした少人数学級の実現と教職員定数増を求める動きが全国各地で広がりました。
●少人数学級の実現に向けたとりくみ・運動は、一人ひとりの児童生徒をしっかりと見守れる、学習を保障するといった観点から30年にわたり行われてきています。毎年「ゆきとどいた教育をすすめる教育署名」を全国各地でとりくみ、集められた署名を文科省へ、そして埼玉県では対県要請集会を行うとともに、県議会へ請願しています。
●2020年は“コロナ禍の今だからこそ少人数学級の実現を”と、教職員組合ばかりでなく、知事会・市長会・町村長会など地方3団体、PTA団体、校長会、政党などあらゆる団体が、少人数学級を求めて声を挙げました。
その結果、2020年12月17日、文科省と財務省の間で閣僚折衝がおこなわれ、「義務標準法を改正し、2021年度から5年かけて小学校の35人学級を実施する」ことが決められました。これについては一定の評価はできるものの、学級編制標準引き下げの幅が小さいことや中学校・高校についての言及がないこと、改正に時間がかかりすぎることなど多くの課題があります。また、教職員定数についても加配定数として措置されているものが基礎定数化されるだけであり、教職員の数が増えないことにも課題が残っています。
●2021年2月、義務標準法の改正により、国は2021年4月より小学校2年生を35人学級として、その後5年間かけて学年進行で小学校全学年を35人学級にすることが決まりました。40年ぶりの義務標準法が改正されたことは評価することはできます。しかし、教員定数に関しては、これまで加配定数としていた教員定数が基礎定数化されるにとどまり、35人学級になったとはいえ、教員定数の大幅増への改善がないのは不十分です。
●埼玉県はこうした国の動きを踏まえ、2021年1月14日付けで「令和3年度指導方法の工夫改善に伴う加配(教科指導充実加配)の弾力的な運用について」を発出しました。具体的には、指導方法の工夫改善に伴う加配(教科指導充実加配)を活用し、学校の状況に応じて、小学校3年生において35人以下学級の少人数学級編制をすることもできるというものです。既に市町村に配当された教科指導充実加配の定数の中で、少人数指導のための教科指導充実に活用するか、少人数学級編制に活用するかを市町村が選択できるようにするもので、新たな加配の配当はありません。
2021年度については、小学校3年生での少人数学級編制で活用しない場合は、従来どおりの少人数指導としての教科指導充実加配となります。
Q90特別支援学級の設置・編制はどのように決定されますか
●学校教育法85条2項は、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校に、
①知的障害者
②肢体不自由者
③身体虚弱者
④弱視者
⑤難聴者
⑥その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
としています。
また、学級編制の基準は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)」の第3条で次のように定められています。
学校の種類 | 学級編制の区分 | 1学級の児童生徒の数 |
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。) | 同学年の児童で編制する学級 | 40人(2021年度より5年間かけて35人へ) |
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。) | 2つの学年の児童で編制する学級 | 16人(第1学年の児童を含む場合は8人) |
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。) | 学校教育法第81条2項及び3項に規定する特別支援学級 | 8人 |
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。) | 学級編制の区分 | 40人(埼玉県では中1のみ38人) |
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。) | 同学年の児童で編制する学級 | 8人 |
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。) | 2つの学年の生徒で編制する学級 | |
学校教育法第81条2項及び3項に規定する特別支援学級 | 8人 |
埼玉県市町村立小・中学校教職員配当基準表では特別支援学級数に対し1.5人の教員配置を行っています。
●「通級による指導」は、「通常の学級に在籍する心身に軽度の障害がある児童生徒に対して、その障害に応じて特別の指導の場(在籍校または近隣校)で行われる特別の指導を行う場合に、特別の教育課程によることができる」(文部省通達)という制度で、1993年度より法制化されたものです。
「通級による指導」の対象となるのは、2006年4月から「学校教育法施行規則の一部改正」により、次の障害をもっている通常の学級に在籍している児童・生徒です。
1.言語障害者
2.自閉症者
3.情緒障害者
4.弱視者
5.難聴者
6.学習障害者
7.注意欠陥多動性障害
8.その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当な者
●全国的に特別支援学級在籍者の児童生徒数が増え続け、2007年に11万3377人だった小中学校の特別支援学級在籍児童生徒数が、2017年には23万5487人と2.08倍となっています。一方、担当教員数は、4万369人から6万4947人と1.61倍にとどまっています。また、在籍する児童生徒も、医療的ケアが必要な子ども、学年に沿った教科学習が可能な情緒障害の子ども、個別対応が常時必要な子ども等々、実態に大きな差があります。
●学級編制に学年は配慮されません。小学校では1年生から6年生まで、中学校では1年生から3年生までの複数学年の子どもたちが在籍していても、8 人以内は1クラスです。発達や生活年齢、学年に応じた指導が必要であるにもかかわらず、充分な対応ができないのが現状です。
●多様な課題をもつ子どもを一人で担任し、授業準備と家庭との連絡、それぞれの学年行事やクラスの授業への付き添いなど、担当教員の負担は限界を超えています。しかし、1993年の第6次定数改善以来、特別支援学級の編制標準は1学級8人のまま変わっていません。特別支援学級での教育を豊かに発展させるために、全国で要求が高まっています。
●全国で不足している教室は、2016年10月の文科省調査で3430教室にのぼることが明らかになっています。また同じく文部科学省の「公立学校施設実態調査報告」(2017年度)では、教育活動に必要とされる面積に対し実際の特別支援学校の保有面積が3分の2程度である実態が明らかにされ、ほぼ100%充足している小中学校などとの違いが歴然としています。
●普通教室確保のために、1つの教室をカーテンやついたてで仕切り2教室として使ったり、図書室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりしています。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの先生や子どもの声が筒抜けになり、落ち着いた授業にはなりません。特別教室がほとんどない学校では、音楽も、図工・美術も、作業学習もすべて普通教室で行わなければなりません。体育館を使用できる回数が少なく、廊下を走ったり、教室や玄関ホールで 体操をしたりする学校も多数あります。トイレが足りず休み時間に行列ができる、給食が必要数作れない、スクールバスでの通学時間が1時間を超える等、児童・生徒数の急増に教育条件の整備が全く追いつかない現在の状況は、子どもたちの学ぶ権利を奪うばかりか、いのちと健康をも脅かしており、もはや人権侵害といえます。
●こういった事態の根幹にあるのが、幼稚園から 小中学校、高校、大学、専門学校まですべてにある 設置基準(学校を設置するのに必要な最低の基準)が特別支援学校だけにないことです。
そうした中、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の初等中等教育分科会は2020年9月28日、今後の初等中等教育のあり方に関する「中間まとめ」を公表しました。比較的重い障害の子どもが通う特別支援学校について、これまでなかった設置基準の策定や、不足教室の解消に向けた施設整備の推進を国に求めました。「中間まとめ」は「国として特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定する」と明記。教室不足については、特別支援学校の新設や増築、他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保するなどの施設整備を求めました。
●特別支援学校の設置基準の策定は、教職員と父母・保護者の切なる願いであり、私たちが長年にわたって求め続けてきたことです。特別支援学校の過大・過密の解消につながるものとして期待できます。
しかし、「中間まとめ」には、「他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保」することが教室不足解消の方法としてあげられていますが、余裕教室の利用では抜本的な改善にはつながりません。設置基準の策定と合わせて、国として、特別支援学校の新設増設に対する十分な予算措置を行うことが求められます。
Q91 学校毎の教職員配置数(配当数)はどのようにして決定されますか
●教職員定数は、配当基準表によってきめられています。
なお、特別配当は当該年度の定数を勘案して配当するものであり、翌年度も保障するものでないため本表には含まれません。
以下、職種別に配置基準を述べます。
「標準法」6・7条では、次のようになっています。
〈校長〉 小・中学校に各1人。
〈教頭及び教諭・助教諭及び講師・養護教諭〉
県の配当基準も毎年交渉をし、改善されてきています。
〈市町村費教職員〉
市独自のさまざまな名前で雇用するいわゆる学級支援員の他、給食調理員、校務員、事務職員などがこれにあたり、各自治体ごとの基準に基づいて配置されていますが、リストラ攻撃が強まり、調理員民間委託・校務員の不補充やパート化・事務職員の引き上げが続いています。
※養護教員については、小学校が児童数851人以上の場合、中学校が生徒数801人以上の場合、複数配置とするとしています。なお、学校の実態を考慮し特に必要が認められる場合、複数配置を行うものとするともしています。
Q92 加配教職員の配置はどのように決定されますか
●条例によって定められた教職員定数(条例定数)を配当し、さらに一定の基準に基づいて特別加配がされます。発令日は毎月1日と16日ですが、埼教組のとりくみもあり、教育職員は、4については、1日、5日、10日、16日、20日、25日となっています。
2020年度を例にとると、次のような加配がなされました。
2020年度 埼玉県教職員条例定数・特別加配基準 | |
職種 | 内容 |
一般職員(校長を含む) | (1)本年度条例定数 小学校 15,704人(昨年度15,634人) +70人 中学校 9,138人(昨年度9,138人) +16人 合計 24,842人(昨年度24,756人) +86人 (2)特別加配基準 【小学校】 ①小規模校加配―へき地指定校に1人(廃校によりなし) ②特別支援学級加配(8人) ③分校加配―分校に1人(分校なし) ④施設児収容校加配―熊谷市・深谷市・羽生市・春日部市・加須市(10人) ⑤児童生徒支援(22人) ⑥指導方法の改善(T・T等)(1095人) ⑦通級による指導(230人) ⑧外国人児童生徒等日本語指導対応(78人) ⑨教頭複数配置(15人) ⑩長期病休代替―1ヶ月以上の病休者すべて ⑪介護休暇代替―1ヶ月以上の介護休暇取得者すべて ⑫妊娠時体育代替講師―妊娠者1人につき1人⑬長期派遣代替講師―1ヶ月以上の長期派遣者すべて 【中学校】 ①小規模校加配―へき地指定校につき1人(廃校によりなし) ②特別支援学級加配(0人) ③施設児収容校加配―行田・春日部・熊谷・加須(8人) ④免許外教科担当解消―(原則として12学級規模校以下) ⑤児童生徒支援(生徒指導推進モデル校含む)(119人) ⑥指導方法の改善(T・T等)(625人) ⑦分校加配(2人) ⑧通級による指導(40人) ⑨外国人児童生徒等日本語対応(14人) ⑩教頭複数配置(17人) ⑪充指導主事(104人) ⑫長期病休代替―1ヶ月以上の病休者すべて ⑬介護休暇代替―1ヶ月以上の介護休暇取得者すべて ⑭長期派遣代替講師―1ヶ月以上の長期派遣者すべて ⑮妊娠時体育代替講師―週13時間 |
養護教員 | (1)本年度条例定数 小学校 748人(昨年度747人) +1人 中学校 376人(昨年度375人) +1人 合計 1,124人(昨年度1,122人) +2人 (2)現行複数配当基準 小学校851人以上校、中学校801人以上校 (3)改善特配(複数配置の実施) 小学校31人、中学校11人 (4)養護教諭加配 小学校2人、中学校8人 |
学校事務職員 | (1)本年度条例定数 小学校 769人(昨年度769人) ±0人 中学校 415人(昨年度424人) +1人 合計 1,184人(昨年度1,183人) +1人 (2)現行配当基準 小学校 4学級以上の学校に1名、27学級以上の学校に2名 中学校 4学級以上の学校に1名、21学級以上の学校に2名 (3)改善特配 3学級の学校に特配(小1・中5) |
学校栄養職員・栄養教諭 | 本年度条例定数 小学校 229人(昨年度229人) ±0人 中学校 92人(昨年度92人) ±0人 合計 321人(昨年度321人) ±0人 |
Q93 学校配当予算はどのようにして決定されますか その内訳を教えて下さい
●学校教育法5条は学校の経費はその設置者が負担するという原則を定めています。つまり小・中学校であればその経費は市町村負担が原則ということになります。教育の機会均等、その水準の維持向上と円滑な実施のために法令によって、国の負担、補助が行われることになっています。
●現実には施設設備費・維持運営費が公費でまかなえず、寄付金・学級費・PTA会費・労働奉仕などの形で少なくない父母の負担があります。
●国の負担する経費を大別すると、次の2つです。
①国庫負担金・補助金
②地方交付税交付金
〈国庫負担金・補助金〉
国庫負担金・補助金は義務制教職員給与費の1/3負担(義務教育費国庫負担法)や就学奨励・奨学、学校給食の補助などで、充当すべき経費が特定されているいわゆる「ヒモつき財源」ですから流用することはできず、全額教育経費の財源となります。
しかし、これらの経費の算定基礎である国の基準の補助単価、対象、数量は実際より低いため、補助額が必要経費より低く、父母負担の増大や地方自治体に超過負担を強いているのが実態です。
〈地方交付税交付金〉
地方交付税交付金は一定の積算内容にそって、土木費、産業経済費など他の経費と合わせて教育費として交付されるものです。4月、6月、9月、11月の4回に分けて1/4ずつ、12月と3月に補正額が交付され、積算基礎として教職員給与費、学校需要費、設備費などが算入されています。
しかし、問題はこの交付金の場合、どの経費に使うか特定されていないため、「ヒモつき財源」とちがって、地方自治体予算の中で教育費として積算額どおり充当されず、他の経費に流用されてしまっている例が少なくないことです。 したがって、この交付金のしくみを十分知っておくことが重要です。
この地方交付税のしくみは、どのような財政状況の自治体でも一定の行政水準が維持できるような財政保障は国がしなければならないという理念に基づくものです。
●地方交付税(普通交付税)に算入されている教育費の額がわかれば、それは自治体に対する予算要求の強力な根拠となります。また、個々の学校予算についても測定単位である教職員数、児童生徒数、学級数がわかれば基準財政需要額が算出できますから学校毎の予算額の多少を判断する重要な指標となります。
●なお、こうしたしくみで編成された予算はいずれも議会の議決を経て執行されますので、要求運動を組織する上で国や地方自治体の予算編成・決定の時期を知っておくことも大切です。
国:毎年9月末までに各省庁の概算要求、
9月以降財務省の予算編成、通常
12 月末までに閣議決定、1月からの通常国会で議決。
県:毎年11月中に各部局の予算要求、
12月末頃から予算編成、1月末頃知事査定、
3月定例議会で議決。
市町村:県とほぼ同じ日程。
Q94 GIGAスクール構想とその問題点について教えてください
●政府は、2019年12月13日、経済財政諮問会議で安倍元首相が「PCが1人当たり1台となることが当然だということを、国家意思として明確に示す」と発言したことを受け、経済対策として「GIGA スクール構想の実現(2318億円)」を含む補正予算案を閣議決定しました。
同日、萩生田文科大臣は、「令和時代のスタンダードとしての 1 人 1 台端末環境~大臣メッセージ」を発表し、「GIGAスクール実現推進本部」を設置し、「児童生徒1人1台コンピュータを実現」「高速大容量の通信ネットワーク」整備等の政策パッケージを発表しました。「大臣メッセージ」では、「1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の『スタンダード』であり(略)これからの学校教育は劇的に変わります」としています。しかし、「教育の ICT化」や「1人1台端末」が子どもと教育に及ぼす効果や影響についての研究・検証も十分おこなわれていないまま導入を強行しようとするもので、学校現場から 懸念する声が上がっています。子どもと教育への影響についての検討を後回しにし、とにかく「国家プロジェクト」として位置づけ、公教育への民間産業の参入を促進する経済対策としてやみくもに導入に突き進んでいくことは、許されるものではありません。
●政府・文科省は、一人ひとりの子どもたちの学習ログを蓄積しAIを活用することで「最適化」された 課題を提供し、異なる課題にとりくむことで「公正に個別最適化された学び」が実現するとしています。しかし、今、経済政策として強引にICT化をすすめれば、子どもたちが共同の学びをすすめ、人間的なふれあいを通じて育む本来の教育を大きく阻害する危険性があります。「人格の完成」をめざす教育に直接責任を負う教職員の専門性をも否定するものです。また、子どもたちの学習ログを蓄積したビッグデータを活用することは、民間教育産業や巨大IT産業による教育や生活への介入・支配につながる危険性すらあります。さらに、ICT機器の活用を推進することによる子どもの体や心の成長・発達への影響につい て、多くの専門家から問題が指摘されていますが、十分に検討されているとは言えません。
●「GIGAスクール構想」の導入により、公教育への民間産業の参入を促進しようとする政府・財界の意図が見え隠れします。
全教は、子ども・教育への影響や自治体の実状を無視し、経済政策として「GIGAスクール構想」を押しつけるのではなく、子どもや学校、地方自治体の実態を踏まえ、国の責任で一人ひとりの子どもたちにゆきとどいた教育を保障するための条件整備をすすめることを求めています。
Q95 小学校高学年への教科担任制導入の問題点について教えてください
●中教審「答申素案」は、「9年間を見通した効果的な指導体制の在り方を検討する必要がある」として、義務教育学校化や小中一貫教育の導入、小中学校の連携を促進するとともに、2022年度を目途に「小学校高学年から教科担任制を本格的に導入する」としています。外国語・理科・算数を新たな「専科指導の対象」とし、そのために必要な教員定数確保に向けた検討と教職課程における取得免許要件の弾力化を求めています。
●小学校の教科担任制については、すでに導入されている義務教育学校等での状況や、中学校の教員が複数の学校を掛け持ちするなどの実態を充分に把握した上で、小学校での学級担任制の意義や子どもの発達段階、教職員定数と配置等を含めた包括的な議論が不可欠です。
●全教は、「中間まとめ」に対する意見表明において、実施強化や時間数を一律に押し付けるのではなく、各学校で工夫できる制度とすること、小学校教員の「持ちコマ数の軽減」につながるよう専科教員の増員をおこなうことを求めました。